シチュエーションCDシナリオ
ダミーヘッドマイクを利用した女性向けシチュエーションCD(※一応全年齢対象)を想定して書いたシナリオです。
タイトル:『迷探偵の恋』
<簡単なあらすじ>
謎のストーカーに悩まされていた主人公は、小さな探偵事務所の辻山耕助にストーカー犯の特定を依頼するが、容疑者は三人居て…。
■シーン1:辻山探偵事務所にて、依頼
SE:お茶をテーブルに置く音
耕助「悪いな。今この事務所にはお茶しか無くて。少し前ならコーヒーも紅茶も選び放題だったんだが……俺の淹れたそのお茶で我慢してくれよ」
SE:お茶をすする音
耕助「早速だがあんたの依頼内容、“最近何者かにストーキングされているので調べて欲しい”……で合ってるか?」
耕助「もし本当にストーカー行為を受けているんなら、こんな小さな探偵事務所に頼まず、さっさと警察へ届出た方がいいと思うんだが……“何者かに”って事は、誰にストーキングされてるのかわかっていないんだな?」
SE:主人公肯定
耕助「“誰かに後ろをつけられている気がする”程度なら、あんたの気のせいで片付けられるんだが……届くはずの郵便物が無くなったり、帰宅直後に非通知着信があったり、極めつけには路地で背後から抱きつかれる……ときちゃぁな」
耕助「本来は警察の仕事だが、ここまで証拠が無いとなると警察も動かないだろう。だから依頼内容はこうしよう。あんたをストーキングしている男の身元を突き止め、その証拠を手に入れる。そうすればあんたはそれを持って警察へ駈け込めるだろ?」
耕助「この依頼は辻山探偵事務所の所長である俺、辻山耕助が直々に責任持って承ろう。なに、大船に乗ったつもりで任せてくれ。依頼は必ず果たすのがモットーだ。必ず証拠を掴んでやる」
耕助「他の所員? そんなもんいねぇよ。辻山探偵事務所は俺一人だけだ。大丈夫、俺に任せな」
■シーン2:現場検証その1、裏路地
SE:車通りの激しい音
SE:耕助と主人公の足音
耕助「これから向かうあんたが抱き着かれた現場だが……この道はいつも通勤で使ってたのか?」
SE:主人公肯定
耕助「突発的な変質者に抱き着かれたっていう可能性は無いのか?」
耕助「つけられている気がしていた? しかも何度もだと? じゃあ何で道を変えなかった?」
耕助「(溜息)まぁ普通そうなのかもな。事が起ってみなけりゃ気のせいだと思うか。能天気なこった。抱きつかれただけで済んで良かったと思うぜ? これが通り魔だったら、事が起こった時点であんたの人生は終わりだ」
SE:耕助と主人公が角を曲がる足音
※急に車通りが静かになる
耕助「この辺りか。確かにこの路地へ入っただけで静かになるな。ここは夜だと相当暗くなるんじゃないか? 街灯は殆ど無さそうだが」
耕助「姿や顔が見えないのに何故男だとわかった?」
耕助「なるほどな。力強さや息遣い以外に何か別の特徴は思い出せないか? 何でもいい。身長とか体型とか臭いとか」
耕助「俺くらいの背ってことは中肉中背だな……そんなのいくらでもいそうだな。しかし何でまたこんな暗い道使ってたんだ?」
耕助「たまたま残業……ってことは、普段ここを通る時はそんなに暗く無かったってことか。それじゃあ、暗い時にここを通るのを周到に狙われたか、或いは突発的な衝動か……」
耕助「とにかくだ、一般論として言わせて貰えば……あんたみたいなか弱い女が、夜にこんな暗い路地を使うべきじゃあないな」
SE:壁際に迫られる足音と、壁に手を置かれる音
耕助「近道だろうが何だろうが……誰に襲われても文句は言えねぇ道だ。ストーカー野郎に限らず、な」(※耳元で)
耕助「この場であんたの両腕を拘束して、可愛い唇を塞いだら……この俺でさえあんたに何でも出来ちまう。そこんとこ、わかってんのか?」(※)
SE:胸を押して耕助の肩辺りを叩く音
耕助「ハハッ! ビビッたか? これに懲りたら、夜はなるべく明るい道を選ぶんだな」
耕助「よし、次はあんたの住んでるマンションを見せてくれ」
■シーン3:現場検証その2、マンションの郵便受け
SE:車が停車し、二人が降車する音
SE:マンションロビーの扉を開け、中へと入る二人の足音
耕助「一応郵便受けはマンションの建物内にはあるが……この玄関口はオートロックというわけじゃないし、入ろうと思えば誰でも入れる、か」
SE:郵便受けまで近づく耕助の足音
SE:郵便受けを開ける音
耕助「鍵がついていなければ誰でも開ける事は出来るな。まだ鍵を付けて無い郵便受けもいくつかあるし。あんたが鍵を付けたのは、郵便物を盗まれた後か?」
SE:主人公肯定
耕助「それじゃあ、それまでは誰でもあんたの郵便物を盗めたわけだ。部屋番号を知っている奴なら誰でもな。ちなみに今まであんたの部屋に来た男は何人いる?」
耕助「三人か。その一人目の“元彼”だが……振っておいて復縁を迫る身勝手な男もいるからなぁ。じゃあ、友人の男っていうのは?」
耕助「親友の彼氏、か。その二人は付き合って何年だ?」
耕助「三年……倦怠期にはいい頃合いだな」
SE:主人公否定(絶対違う的な)
耕助「あのなぁ……世の中に『絶対』は無いってのが俺の持論だ。可能性が少しでもあれば疑うのが俺の仕事なんでね。男が彼女の親友に浮気…なんて別に珍しい話じゃない。それじゃあ、最後に同じ課の上司とやらは?」
耕助「同僚女性と一緒に見舞いねぇ。なかなか聞かない過保護な話だが、一人暮らしで連絡が無ければ心配して家まで来てもおかしくはない、か。死んだと思われたのかもな」
耕助「ところで、郵便物は具体的に何を盗まれたんだ?」
耕助「電気ご使用量のお知らせ……って、あの細長いレシートみたいな奴か。あとは美容室のDMハガキとCD……。CD? それは通販か何かで買ったのか? 中身は音楽?」
耕助「ドラマ……それはラジオドラマみたいなものか? 内容はどんな話だ?」
※主人公沈黙
耕助「あのなぁ……これは捜査だ。個人的に興味があって中身を訊いてるわけじゃない。ストーカー野郎がそれを盗んで聞いているかもしれないから訊いているんだ。奴の心理としちゃぁ、あんたがどんな物に興味があるのか趣味嗜好を知りたいんだろう。もしかしたら、そのCDの内容が例の暗い路地で抱きつく引き金になったのかもしれないぜ?」
耕助「ん? しちゅ? ……シチュエーションCD…って何だそりゃ」
耕助「ふ~ん。疑似恋愛ねぇ。よくわからんが、その恋愛ってのはどこまで描かれるんだ?」
耕助「それはつまり……耳で聞くポルノってことか?」
SE:主人公抗議気味の否定
耕助「ちょ…待て! 怒るな!! わかったわかった、今のは失言だった。謝るから! 落ち着けって」
耕助「トキメキや癒しねぇ……。見方はどうあれ、ストーカー野郎がそれを聞いてどう思うのかが重要だ。どういうシチュエーションなのかは知らないが、そのドラマに描かれているのがあんたの願望だと思われている可能性はある」
SE:配達の車が止まる音
SE:配達人の足音が迫る音
耕助「あ、おい……そこ邪魔だぞ? こっち」
SE:グイッと引っ張られ、耕助によりかかる音
SE:ポストに配達物が配られていく音
耕助「確かにCD一、ニ枚程度ならポストで十分なのか。でもいくらポストに鍵付けても、あの口に手を突っ込んだら、盗もうと思えば盗めそうだしなぁ……あ、悪い。ずっとあんたの腕掴んでた」(近くで)
SE:慌てて離れる音
耕助「ん?」
SE:主人公疑問(どうかしたんですか?)
耕助「妙な視線を感じたんだが……」(小声で)
耕助「まぁ、いいか。とりあえず一旦事務所へ戻って情報を整理するぞ」
■シーン4:辻山探偵事務所にて、情報整理
SE:PCのキーボードを打つ音(※耕助は表に容疑者をまとめながら説明している)
耕助「まずはストーカーについてだが、あんたの住むマンションの部屋と通勤ルートを知っていた者に限られる」
耕助「容疑者と思われる者は三名。一人目は元彼だった堀井兼次。三年程付き合ったがすれ違いが続き、堀井から『好きな人が出来た』と切り出されて二年前に破局」
耕助「ニ人目は大学時代からの友人で、親友の彼氏でもある原泰輔。親友と一緒に部屋へ何度か訪れている。最寄り駅まで迎えに行った際、通勤ルートを一緒に歩いているので知っていた可能性有り」
耕助「三人目は同じ総務課課長の倉田准一。インフルエンザにかかって高熱で寝込んだ際、会社へ連絡しそびれて、あんたの同僚(女性)と一緒に見舞いへ訪れた。通勤ルートは総務課に提出済みの書類を見ればわかる、と。とりあえずこんなところか」
SE:PCのキーボード(エンター)を打つ音
耕助「ちなみにどいつもこいつも中肉中背か……決め手に欠けるなぁ」
耕助「ストーカーのよくあるパターンとしては、別れに納得のいかない元恋人が……ってやつなんだが、当時はすんなり別れたのか?」
SE:主人公肯定
耕助「そうか。しかしあんた…結構可愛いのにな。あんたを振るなんて罰当たりな奴もいたもんだ……。ちなみに……今は誰とも付き合って無いのか?」
SE:主人公肯定
耕助「ふ~ん。今フリーなわけだ。……好きな奴もいないのか?」
SE: 主人公肯定&疑問(それが犯人探しに関係あるんですか?)
耕助「あ、いや。今のは関係無い。すまん。(咳払い)ま、まぁ、環境が変わってすれ違い…なんてよくある話か。俺も知らぬ間に音信不通になったり、向こうから切り出されたりしたしな」
SE:主人公驚きと質問(辻山さんも?)
耕助「俺か? 俺は仕事に一筋過ぎて女には振られる一方だよ。もう五年以上は誰とも付き合ってない」
耕助「大学を卒業してすぐ大手の興信所で働いたんだが、大学時代から付き合っていた彼女とは、仕事を始めた途端に忙しくなったせいで、向こうから別れを切り出されたな。その後も興信所時代に付き合った彼女はいたが、仕事でデートをドタキャンしてるうちに……自然消滅したりな」
耕助「その興信所では五年程働いたんだが、その後この探偵事務所を立ち上げて……独立すりゃあそれなりにプライベートの時間も出来るかと思ったが、探偵業は不安定だ。仕事がある時と無い時の差が激しい。しかもこの事務所は俺一人だし。必死に仕事をこなしているうちに五年も経ってたって感じだな……てか、何で俺の話になってんだ!? あんたの話だ、あんたの話!」
耕助「ところで、平日に仕事を休めるか?」
SE:主人公疑問(何でですか?)
耕助「部屋に盗聴器が仕掛けられている可能性がある。帰宅後すぐに非通知の着信があった件だ。それを調べるには、なるべく容疑者が盗聴出来ないであろう平日の昼間に調べておきたい」
耕助「じゃあ休む日が決まったら教えてくれ。改めて訪問させて貰う」
■シーン5:数日後。現場検証その3、マンションの部屋
SE:主人公のマンションの部屋、扉が開いて二人が玄関に入り戸を閉める音
耕助「お邪魔しますよっと」(小さな声で)
SE:フローリングの廊下に上がり、歩く足音
耕助「それじゃあ早速調べる。静かにな」
SE:盗聴電波を受信する機械の音(電源を入れ、動き出す)
SE:部屋の中をうろつく足音
SE:盗聴電波に反応する機械の音
耕助「ん? こっちか?」
SE:盗聴電波に反応する音が段々大きくなる
耕助「これだな。TV裏のコンセントに付いてるこのマルチタップ。たこ足配線とも言ったりするが。これを付けた覚えは?」
SE:主人公否定
SE:コンセントからマルチタップを抜く音
耕助「…だろうな。じゃあ、これが付いて無い状態を最後に見たのは?」
耕助「去年末か…じゃあここ半年でこの部屋に入った奴が怪しい事になるが……」
SE:マルチタップの裏をドライバーで開ける音
耕助「堀井以外の二人は入ってる? でも堀井は元彼だろ? 合鍵を渡していたのなら、スペアキーを持っている可能性もある。とりあえず、部屋の鍵はすぐに変えろよ」
耕助「ほら、これ見ろ。この黒いのが盗聴器だ。盗聴電波は100~200メートルまで飛ばせる。受信機を持って近所まで来れば十分この部屋の音は筒抜けだ」
SE:主人公怯える(両腕をさする音?)
耕助「震えてるな。こんなもん見たらさすがに怖いか……。手を貸せ」
SE:手を握る音
耕助「握れば少しは安心するだろ? 彼氏でもない俺でもな。大丈夫、今は流石に野郎も仕事中で盗み聞きなんかして無いだろう」(近寄って)
耕助「野郎が全面的に悪いとは思うが……あんたにも隙があったんじゃないのか?」
耕助「夜にあんな暗い路地を歩いていた事もそうだが、郵便物が盗まれた事や、盗聴器を仕掛けられた事についてもだ。一人暮らしの家にホイホイ男を上げるもんじゃない」
耕助「俺も男だって? あのなぁ……俺だって依頼が無きゃここには来て無い。あんたが招き入れたようなもんなんだからな?」
耕助「もしかしてあんた……頼まれたらハッキリ断れないタイプなんじゃないのか?」
耕助「現に今、彼氏でも無い男に『手を貸せ』と言われて手を握られているしな。嫌ならハッキリ断らないと駄目だぞ。だからストーカーに付け込まれるんだ」
耕助「そんなに嫌じゃないって……そういうとこが“隙がある”ってわかってるのか? 俺がストーカー野郎みたいなクズなら、今あんたにキスしてるところだ。俺みたいな男にキスされてもいいのかよ」
SE:主人公沈黙
耕助「黙ってないで断れよ。そういうとこだろ? 付け込まれたのは」(耳元で囁くように)
SE:体が離れる音
SE:マルチタップを元に戻す音
耕助「とりあえず、盗聴器は元に戻す。盗聴出来なくなったら、野郎が確認しに来るかもしれないからな」
SE:主人公怯え
耕助「確かに気持ち悪いだろうが……打てる手が無いこともない。少々危険な策だが、上手く行けば一発で犯人がわかるし、あわよくば警察にしょっぴけるかもしれん。どうする? やってみるか」
SE:主人公肯定
耕助「よしわかった。そう来なくっちゃな。そうだな……じゃあ、あんたが持ってるシチュエーションCDとやらを1枚貸してくれないか? なるべく野郎が盗んだ物に近い作品で頼む」
耕助「俺の策に必要なんだよ。ちゃんと返すから」
SE:渋々CDを棚から取り出し、手渡す音
耕助「サンキュー。それにしてもあんた……やっぱりハッキリ断れないんだな」
SE:耕助の身体を叩く音
耕助「痛っ!! 冗談だっつーの!」
■シーン6:マンションの部屋にて、デート?
SE:主人公の部屋の扉が開き、玄関に入って戸を閉める音
SE:玄関→リビングまで(フローリング)を歩く音
SE:(再生)ボタンを押す音
耕助「悪いな…あんたの家に寄らせて貰って。自分でもこんなに酔うとは思って無くてな……」
SE:キッチンで水を汲む音
耕助「何でだろうな……まさかあんたが俺なんかとデートしてくれるとは思って無かったから、緊張したのかな……ハハ! あぁ、水サンキュー」
SE:水を飲む音
耕助「ぷはぁ~、生き返る。喉かわいてたんだ……。それにしても体が暑いな」
SE:服の胸元をバサバサして風を送る音
耕助「なぁ……今夜、泊めてくれないか? 水飲んだら帰ろうと思ってたんだが……足元がおぼつかなくて。それに……」
SE:抱き締める音
耕助「初めて会った時から、本当はずっとあんたをこうしたいと思ってた。見知らぬ男に抱き着かれたって聞いて、俺で上書きしてやりたいって」(※耳元で)
耕助「俺に抱き締められるのは、嫌か?」(※)
耕助「耳…真っ赤だな。可愛い…(軽く耳にキス)物欲しそうな目だな。唇にして欲しいのか?」
SE:押し倒す音
耕助「悪い…本当足元おぼつかなくて」
SE:耕助の胸を叩く音
耕助「あはは、悪い悪い。座ってたら足元は関係無いよな。……なぁ、目ぇ閉じろよ」
SE:唇を合わせる長めのキス音、それから激しく何度も
耕助「このままがいい? それとも、ベッドまで運んで欲しい?」
SE:ドアベルが何度も鳴る
SE:扉をバンバンと何度も叩く音
SE:(停止)ボタンを押す音
SE:リビング→玄関まで歩く音
SE:訪問者の肩を後ろから掴む音(扉越しに)
耕助「おいあんた。こんな夜中にこの部屋へ何の用だ?」(※扉越しに廊下から聞こえる)
耕助「どうした? まるで今この中にいるはずの男が目の前に現れた様な顔して。そのイヤホンで、俺のシチュエーションCDでも聴いてたか?」(※)
SE:男が廊下を逃げる(遠ざかる)足音
耕助「待て!! このストーカー野郎!」(※)
SE:耕助が追いかける足音
SE:主人公が玄関を開ける音
耕助「観念しやがれ……ってんだ!!」(クリアになるがちょっと離れた場所から聞こえる)
SE:一本背負いで、男を投げ飛ばす音
SE:男の手首をひねり上げる音
SE:主人公が耕助達に近づく廊下の足音
耕助「どうだ? こいつはあの三人の中の誰だ?」
SE:主人公否定
耕助「何ぃ!? 誰でも無いだと!? じゃあ一体誰なんだこいつは!?」
■シーン7 辻山探偵事務所にて、解決と別れ
SE:お茶をテーブルに置く音
耕助「悪いな。相変わらずお茶しか無いが、我慢してくれ」
SE:お茶をすする音
耕助「まさか運送会社の男がストーカーしてたとはな。世も末だね全く。ここら一帯を配達エリアにしていた男なんだとよ。あんた可愛いから、荷物運んだ時に目ぇ付けられたのかもな」
耕助「警察から聞いた話じゃ、仕事中に一度あんたの部屋のトイレを借りたんだってな。その時どさくさに紛れて盗聴器を付けたらしいぜ。あんた、本当ハッキリ断われないんだな……」
耕助「でもまぁ、捕まったからいいか。誰がやったのかさえわかれば、盗聴器っていう物証もあったし、俺の証言もあれば警察は動いてくれるしな。また何かあればすぐに対応してくれるだろう」
耕助「それにしても、あんなに上手くいくとは思わなかったな……俺のシチュエーションCD作戦。実際はあんただけが帰宅してすぐ俺の録音を流してただけなのにな。俺は廊下でずっと野郎が来るのを張ってたわけだが」
耕助「どうだ? 結構演技上手かっただろう。研究したんだぜ? あんたの貸してくれたCD聴いて。キス音ていうの? 凄いんだな、声優って」
耕助「何だ? 顔が赤いな。もしかして俺の演技に興奮したか?」
SE:主人公否定&抗議
耕助「ば、ばか! 演技に決まってるだろあんなもん!! 本心なわけ……」
耕助「な、何にしても、これで一件落着だ。依頼料も貰ったし……これでもう、あんたと会うことも無いだろう……」
SE:主人公寂しげ
耕助「寂しい言い方って……仕方無いだろ? 実際そうなんだから。探偵に会う時は依頼人が困ってる時だ。探偵事務所なんて、来ないに越した事は無いんだよ」
耕助「ま、まぁ、用が無くても暇な時くらいは話相手に…なってやらんこともないことも……」(段々語尾は小さく)
耕助「そ、そうだ! 最近もまだ聴いてるのか? シチュエーションCD」
耕助「へぇ……暫く聴いて無いのか、ふ~ん」
※二人共沈黙
耕助「それじゃぁ、そろそろ……」
SE:耕助がその場に立ち上がる音
SE:主人公慌てて提案
耕助「ん? 新しい依頼?」
SE:耕助がソファに座る音
耕助「その捕まえて欲しい男っていうのは一体どういう男だ?」
SE:主人公説明(三十代の中肉中背の男で、無精髭を生やしていて、正義感は強いけどデリカシーが無くて、でも優しくて、柔道が出来てそれから……)
耕助「ちょ、ちょっと待て。その男……俺の想像が正しければ、あんたその男に感謝こそすれ、恨むようなことは無いと思うんだが……その男を捕まえてどうする気だ?」
耕助「考えてない? じゃあ何で捕まえるんだ?」
※主人公沈黙
耕助「もしかしてあんた……その男のこと好きなのか?」
SE:主人公渋々肯定
耕助「何でまた……前にも言ったが、その男は仕事にかまけてよく振られる奴だぞ!? 寂しい思いをするのはあんただと思うが……」
SE:主人公提案(じゃあここで働きます)
耕助「はぁ!? この事務所で働きたいだぁ!? 何でそうなる!?」
SE:主人公提案(コーヒーや紅茶を補充する人が必要でしょ?的な)
耕助「あのなぁ……あんたを雇わなくったって、それは俺がコーヒーだの紅茶だの買ってくればいいだけの話で……」
耕助「あぁ、もう泣くなよ……わかった、わーかったから。降参だ、くそっ!」
SE:歩いて近づく音
SE:抱き締める音
耕助「あの録音の演技な……ちゃんとあんたのこと思い浮かべてたよ。……本当にずっとこうしたかったんだ」(耳元で)
耕助「でもまぁ、依頼人に手を出すわけにはいかないからな。そういう意味でも、あんたの聴いてたシチュエーションCDってのは、俺にとって都合が良かったんだが……」
耕助「結局手を出しちまったなぁ……。どうしてくれんだよ、俺の信用……」
SE:主人公提案(自分を依頼者ではなく、従業員にすればいい)
耕助「あのなぁ、あんたを雇える金があればもうとっくに誰か雇ってんだよ。ったく……」
SE:主人公提案(じゃあ私が仕事をいっぱい持ってきます)
耕助「そうかよ……じゃあいっぱい宣伝していっぱい依頼持ってきてくれな? 宣伝部長さんよ」
耕助「依頼は必ず果たすのが俺のモットーだが、どちらかと言うと捕まえられるより捕まえる方が専門でね」
耕助「俺を捕まえたいってことは、俺に捕まえられる覚悟も出来てるんだろうな? 名探偵から逃れられると思うなよ」(繰り返しキスをしつつフェードアウト)
<終わり>
●キャラクター●
【辻山耕助[31]】
無精髭でモサッとしていて一見頼りないが、捜査能力は優秀で格闘技(柔道)も出来る。
あまり表には出さないが正義感は強い。朴とつだが優しさはある…が、マメではない。
男らしく単刀直入な物言いでデリカシーが無く、女性にはモテない。
探偵業一筋の男。大学卒業後大手興信所で働いて、27で独立した。
友人は多く、弁護士や司法書士の友人も。だが検事にはやっかまれている。
「依頼は必ず果たす」がモットー。「俺に任せろ」は口癖。だが根拠は無い。
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