【乙女ゲームシナリオ】俺様先輩キャラ

自作乙女ゲーム『私の前世は戦国武将!?』のシナリオより


(シーン説明)

主人公の井上直緒(高2)が、自分の見ている夢が本当に前世なのか調べるため学校の図書室へ行くと、そこには同じ夢を見ている浅井響介(高3)が。



//背景:図書館

//響介_普通_中央

【?】

「2年生の井上直緒って君のこと?」


名前まで知られている!? という事は……


【直緒】

「もしかして、浅井先輩ですか?」


//響介_驚き_中央

【浅井響介】

「あれ? 俺のこと知ってんの?」

【直緒】

(やっぱり…。)


上地尚親を調べていたのは、昼休みに図書室で出会ったこの人――『浅井響介』だったのだ。


【直緒】

「今日帰りに下駄箱で岡部先生と会って……その時に。」


//響介_普通_中央

【浅井響介】

「ふ~ん。なら話が早いや。俺もあの後、岡部に相談しに行ったら井上さんのこと聞いたんだよね。」


何故だか知らないが、昼に会った時より浅井先輩の眼光が鋭く感じるのは気のせいだろうか。


【浅井響介】

「単刀直入に訊くけど、何で『上地尚親』を調べてる?」

【直緒】

(え……。)


急にそんな事を訊かれても、初対面の人に前世がどうとか、夢の話を説明出来るわけがない。

寧ろこっちが同じことを訊きたかった。


【浅井響介】

「まぁいいや、話し難いなら俺から話すわ。」

【浅井響介】

「俺は結構前から上地尚親の夢をよく見るんだ。」

【直緒】

(上地尚親の夢を見る!?)

【浅井響介】

「夢では綺麗な赤い着物を着た女性が、この尚親って武将をなじってばかりいる。とにかく「子供を返せ」の一点張りだ。」

【浅井響介】

「毎回この夢を見ると、朝には涙の痕があって酷く疲れてる。気分は最悪だ。」

【直緒】

(昨日見た私の夢と似てる!?)


他人が同じような夢を見ているなんて……一体どういう事なんだろうか。


【直緒】

「その子供の名前ってもしかして……」

【直緒・響介】

「「小虎丸。」」


互いにその名を口にして、私は目を見張ったが、


//響介_不敵な笑み_中央

彼には確信があったようだ。

互いに同じ夢を見ているけれど、もしかして違う点があるのではないかと思った。

それは“視点”だ。


【浅井響介】

「同じような夢を見たことがあるんだな?」

【直緒】

「はい……昨日見ました。」

【浅井響介】

「俺は何度もこの酷く疲れる夢を見ていたから、いい加減この『上地尚親』が本当に存在するのか気になって探してたんだ。」

【浅井響介】

「もしかしてあんたも同じ理由か?」

【直緒】

「大体……同じです。」

【浅井響介】

「ふ~ん。」


そう言いながら彼は、覗き込むように顔を近づけてきたので、思わず体を仰け反らせた。


【浅井響介】

「俺はこの夢、『前世の記憶』なんじゃないかと思ってるんだ。」

【浅井響介】

「夢の中での俺はこの尚親って武将の妻――つまり、女だ。」

【浅井響介】

「って事は、その逆も有り得るんじゃないかと……。」

【直緒】

(何を言おうとしてる? いや、多分……。)

【浅井響介】

「あんた、もしかして『上地尚親』自身の夢を見てるんじゃないのか?」


思わず生唾を飲み込んでしまった。

その音が彼にとって、私の前世が尚親であるという確証を得るのに十分だったようだ。


【浅井響介】

「そんなに怯えるなよ? 俺は嬉しいんだぜ。」

【浅井響介】

「こんなに俺を苦しめる夢を、他にも見てる奴がいるって言うんだからさ。」


彼は右手を差し出した。握手をしろという事だろうか。


//選択肢

・彼の手を握る

・彼の手を握らない


//選択肢:彼の手を握る

おずおずと手を伸ばして握ると、彼は強く握り返してきて、逃げ腰の私を強引に自分の方へと引っ張った。

バランスを崩した私は、不可抗力にも彼の肩に顔を埋めてしまう。


//響介_不敵な笑み_アップ

【浅井響介】

「仲良くしようぜ? 前世は夫婦なんだしさ。」

【浅井響介】

「挨拶代わりにキスでもしとくか?」


耳元で囁くように言われて、咄嗟に彼の胸を押して距離をとる。

//合流点へ


//選択肢:彼の手を握らない

【浅井響介】

「つれないな……警戒してるのか? 前世は夫婦だってのに。」


差し出していた手を引っ込めた彼は、両手を上げて“お手上げ”のポーズをとる。


【浅井響介】

「いいぜ、わかった。いくら前世の記憶があるからって出会いを省くもんじゃないよな。」

【浅井響介】

「自己紹介から始めればいいんだろ?」

//合流点へ


//合流

//響介_不敵な笑み_中央

【浅井響介】

「改めて、俺は浅井響介。元夫婦の誼(よしみ)で下の名前で呼んでくれていいぜ。」

【浅井響介】

「その代わり俺も、あんたを『直緒』って呼ばせて貰うからな。」

【直緒】

(もう呼び捨て!?)


戸惑いをよそに、浅井先輩は満面の笑みだが、瞳の奥は笑っていない。


//響介_普通_中央

【浅井響介】

「それで、1つ直緒に提案があるんだ。」

【直緒】

「提案?」

【浅井響介】

「あぁ。尚親が若くして死んだのはもう夢に見て知ってるんだよな?」

【浅井響介】

「俺はその理由が知りたいんだ。教えてくれないか?」

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