【甘めシナリオ】俺様先輩キャラ

自作乙女ゲーム『私の前世は戦国武将!?』の原作小説、第一章:響介編のスター特典SS作品より


(シーン説明)

晴れて両想いとなった主人公の井上直緒(高2)と浅井響介(高3)。すると響介は受験勉強でなかなか二人の時間が取れなくなる。そんな中、休日に響介の家に呼ばれ、一緒に部屋で勉強をすることに。その日家には響介以外誰もいなくて…。



//背景:響介の部屋

//響介_私服_汗_中央

【浅井響介】

「はぁ~疲れた。ちょっと休憩。」


勉強机で軽く伸びをしてこっちを向いた先輩は、ローテーブルにいる私を見るなり脳天へ手刀を喰らわせる。


【直緒】

「痛い。」


//響介_私服_笑い_中央

【浅井響介】

「寝てんじゃねーよ!」


そう言って先輩はマグカップを持ってこちらへ移ってくる。

そして目の前の菓子皿から、クッキーを一つ取って頬張った。


//響介_私服_普通_中央

【浅井響介】

「何読んでた?」

【直緒】

「今川家の歴史。」

【浅井響介】

「眠くなるわけだな。何かわかったか? 上地家のこと。」

【直緒】

「上地家のことはわからなかったけど、遠州には他にも上地家と同じような家がいくつかあったのはわかりました。」

【浅井響介】

「ふ~ん。今川に騙されて潰れた家は上地家だけじゃなかったってことか。それが戦国時代なのかもな。」


あまりにも他人事のように言うので正直驚く。

私と出会ったばかりの頃とは、比べ物にならないくらいだ。


//響介_私服_驚き_中央

【浅井響介】

「何だよ? おかしいこと言った? 俺。」

【直緒】

「別に。ただ……。」

【浅井響介】

「ただ?」

【直緒】

「もう先輩は、大丈夫なんだなって。」

【浅井響介】

「大丈夫って……淡雪のことか?」

【直緒】

「うん。」

【浅井響介】

「まだ心配してたのかよ。言ったろ? 『前世の記憶になんか負ける気しねぇ』って。」


そう言えば…と、思い出す。

先輩と両想いなのを確かめ合った時、先輩が言ってくれた言葉だ。

そしてあの時、私達は……


//響介_私服_不敵な笑み_中央

【浅井響介】

「おい、何思い出してんだよ。顔真っ赤だぞ?」

【直緒】 

「……。」

【浅井響介】

「もしかして、キスのこと思い出してんのか? 直緒ったら、やらし~子。」


悔しくて思わず先輩の肩をグーパンする。


//響介_私服_汗_中央

【浅井響介】

「痛っ!」


謝ってやるものかと、目の前にあったおかきを取って頬張った。

すると先輩の手が伸びてきて、私の右頬を優しく包む。


//響介_私服_不敵な笑み_中央

【浅井響介】

「またキスする?」

【直緒】 

「ゴホッ!! ゴホッ! ゴホッ! ゴホゴホッ!!」

//響介_私服_汗_中央

【浅井響介】

「あ~あ~あ~! ほら、お茶飲めお茶。」

【直緒】

「急に変なこと…言うから……。」

【浅井響介】

「悪かったよ。直緒にはまだ刺激が強すぎたな」

【直緒】

「そういうことじゃなくて……ゴホッ! ゴホッ!!」

【浅井響介】

「だって俺の部屋に来るって言っても、何も準備して無いだろ?」

【直緒】

「じゅ、準備って?」

【浅井響介】

「わかんないなら気にすんな。」


呆れ顔で先輩はお茶をすする。


【直緒】

「してたら?」


//響介_私服_普通_中央

【浅井響介】

「ん?」

【直緒】

「準備してきたって言ったら?」

【浅井響介】

「何の準備だよ?」

【直緒】

(同衾)


…とはさすがに言えなくて無言になる。


//響介_私服_汗_中央

【浅井響介】

「お前なぁ、俺を驚かそうったって百年早ぇよ。」

【直緒】

「下ろした……」

【浅井響介】

「おろした?」

【直緒】

「下ろしたての下着だもん!」


そう言った途端、先輩は手に持っていたマグカップをゆっくり置き、無言で私の右肩をドンと押した。

後ろに倒れ込んだ私が起き上がる前に、顔の両横へ手を置かれて先輩が覆いかぶさる。


//響介_私服_普通_アップ

【浅井響介】

「どういうつもりか聞いていい?」

【直緒】

「え……。」

【浅井響介】

「さっき直緒、『期待してない』って言ってなかった?」

【直緒】

「言いました。」

【浅井響介】

「本当は?」

【直緒】

「してた。」


//響介_削除


恥ずかしくて視線を逸らす。すると先輩は力無くガックリと俯いた。

表情は見えないけれど、頭頂部のつむじがよく見える。


【浅井響介】

「ちなみに何で今週末会いたいなんて言い出した?」

【直緒】

「……。」


//響介_私普通_アップ

【浅井響介】

「言わないとキスするぞ?」


それでも黙っていると、先輩がゆっくり顔を近づけてくる。どうやら本気のようだ。


【直緒】

「え、え~と……結衣が、あっという間に時間が過ぎるよって……」

【浅井響介】

「つまり?」

【直緒】

「つまり先輩が卒業しちゃうと、最低一年間は遠恋になるので……」

【浅井響介】

「それで?」

【直緒】

「遠恋になったら、先輩は大学で浮気しちゃうかもしれないし……」

【浅井響介】

「ふ~ん。だから?」

【直緒】

「だから……だから……」


気が付けばもう、先輩の鼻と私の鼻は重なり合う程近い。


【直緒】

「先輩とキスしか進んでないのは、不味いんじゃないかって結衣が……」

【浅井響介】

「黙って。」


//響介_削除


唇に柔らかい感触がして、瞼をギュッと閉じた。

生温かくてぬるっとしたものが唇をこじ開けて、口内へ忍び込む。

それを舌で押し返そうとしたら、逆に撫でられて隅々まで絡み合った。


【直緒】

「…ん……ふ……」


//響介_私普通_アップ

【浅井響介】

「おい、大丈夫か? 直緒。」

【直緒】

「ん……」


//響介_私服_笑い_アップ

【浅井響介】

「蕩けるチーズか。」

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