【乙女ゲームシナリオ】クール年上キャラ

自作乙女ゲーム『私の前世は戦国武将!?』のシナリオより


(シーン説明)

主人公の井上直緒(高2)は、前世で切腹して死ぬ夢を見てしまう。どんどん前世の記憶を夢で見るのかと思うと、ストレスで体調を崩し学校を休むことに。そんな中、前世を教えてくれた占い師のショウ、河津晶(19歳)に相談してみようと思い立ち…。



//背景:自室(朝)

明日からは運良く週末で土日だ。学校が無いから、今日を入れて三日は二人と顔を合わせなくて済む。

だからと言ってこのまま土日を過ごしても、問題を先延ばしにしているだけな気がした。

もしかしたらこの週末で更に前世の夢を見て、状態を悪化させる事だってあり得る。

そんな事を考えながら体温を計っていたら、35.6℃だった。


【直緒】

(低過ぎないコレ!?)


ベッドに寝転びながらも打開策を探す。


//回想

//背景:休憩スペース

//晶_普通_中央

【ショウ】

『もしこの先困った事になったら、いつでもいい、連絡して? 力になる。』

//回想ここまで


今がまさに、ショウさんの言っていた『困った事になった』時なのかもしれない。

机の上に置いてあったショウさんの名刺を拾うと、そこに書かれているアドレスにメールを送る。


【直緒】

『先日占って貰った井上直緒です。』

【直緒】

『早速ですがショウさんの言った通りの事が起きました。』

【直緒】

『ショウさんに相談したいのですが、電話してもいいですか?』


//背景:喫茶店

翌日の午前11時頃。


//ドアベルの音

最寄駅前のひっそりとした路地にある、小さな喫茶店『アルカナ』へと訪れた。


【直緒】

「お待たせしました。」


//晶_普通_中央

【ショウ】

「いや、そんなに待って無い。連絡ありがとう。」


初めて会った時と同じように、ショウさんは本を読んで待っていた。相変わらずのイケメンだ。

//晶_削除


メールの後、私はすぐにショウさんと連絡をとった。

次々に出会った前世関係者や、自分の見た前世の夢について話し、

今の心境――これからどんどん前世を知る事になるのかと思うと、怖くてたまらないという旨を彼に伝えた。

それに対してショウさんは何か言うでもなく、今日のこの時間、この店での待ち合わせを指定した。

会って直接話したいのだと。


//晶_普通_中央

【ショウ】

「ところで直緒さんは今、前世をあまり思い出したくない?」

【直緒】

「どちらかと言うとそうですね。」

【直緒】

「あまりにも矢継早に前世関係者に出会ってしまったせいで、正直実生活がままならないし……」

【直緒】

「寝れば前世の夢を見るしで、生活がどんどん前世に浸食されていく感じなんです。」

【ショウ】

「そうか……。」

【ショウ】

「それで、その浅井って先輩だが……。」


//晶_怒り_中央

【ショウ】

「そいつは直緒さんに、過去の真相を突き止めて教えろって迫ってるんだな?」

【直緒】

(ショウさんもしかして……怒ってる?)

【直緒】

(一度占って貰っただけの私なんかの為に?)


さすがに違うかとは思ったけれど、何だかちょっと嬉しい。


【直緒】

「まぁ、大体そんな感じです。」

【ショウ】

「俺が学校で直接直緒さんを守ってあげられればいいが……そういう訳にもいかないしな。」

【直緒】

「え……?」

【直緒】

(守ってあげられればいいが?)


急に鼓動が激しくなる。


【直緒】

(優しいだけだよね? 勘違いしちゃダメだ。でも……。)


//晶_普通_中央

【ショウ】

「ところで話は変わるけど……。」

【直緒】

「はい!?」

【ショウ】

「今日直緒さんに会わせたい人がいる。」